『企業分析入門』15章企業買収
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企業分析入門 第15章 企業買収 桐迫啓彰
企業買収はアングロ・サクソン型の資本主義を有する国では、これまで広く普及した企業投資の形態であった。このような取引により、ターゲットとなる企業の株主が健全な収益を獲得できることは疑いがない。しかし、買収する側の企業の株主にとって、それにどのような価値があるかはよくわかっていない。
1 企業買収の動機
規模の経済の利用
ターゲット企業の経営改善
補完的な資源の結集
税制上の利益の獲得
欠損金の獲得:繰延税金資産
タックス・シールドの獲得:原価償却額×法人税率
財務的制約が強いターゲット企業に対する低コスト資金の提供
ベンチャー企業にとって、公開市場での資金調達は資本コストが高い。このため企業を理解し安定定期案資金源を供給してくれる買収者は、企業に付加価値を付けてくれる可能性がある。
生産物市場のレントの拡大
買収によって、市場で支配企業となる。度が過ぎると独禁法に触れる。
他にも、
経営者が余剰資金を市場に返したくない場合、分散化を図りたい場合などがある。
2 買収価格
過大な対価はターゲットの株主に対しては大変望ましい取引となるが、買収企業の株主の資産を減少させることとになる。
ターゲット企業の株主に提示されるプレミアムの分析
買収企業がターゲットに過大なプレミアムを払っていないかを評価する一般的な方法の一つは、ターゲット企業の株主に提示されたプレミアムを同じような取引で提示されたプレミアムと比較することである。
問題点
比較可能な取引の定義が難しい。
オファーが投資家に予想されていれば、計測されるプレミアムは誤解を導く可能性がある。
買収者にとっての買収後のターゲット企業の価値を無視している。
→買収後のターゲット企業価値=独立した企業としての価値+買収から生じる価値
プレミアムは友好的買収と敵対的買収でかなり異なる。
友好的買収者は、ターゲット企業の内部的な記録が手に入る種、取引を完了した後で隠されていた負債や問題点に驚く可能性が低くなる。
ターゲットきぎょうにオファーを出す機会を競争相手に与えてしまうことも多く、入札戦争のようになってしまう。
買収者から見たターゲット企業の価値の分析
過大な対価を払っていないかを評価するためのより信頼性が高いと思われる第二の方法は、オファー価格と買収者のとってのターゲット企業の推定価値を比較することである。
企業価値の推定には利益倍率と割引キャッシュローの方法が一般的である。
この本では、ターゲット企業を独立した企業と考えて、その価値を見積もることを推奨している。(→推定価格と市場価格を比較できるからである。)
利益倍率
第1段階:利益の予測
第2段階:株価/利益倍率の決定
株価/利益倍率による評価の限界
PE倍率では買収による業績改善は、利益の即時の上昇か利益成長の増大のいずれかによってもたらされると仮定している。
PEモデルは、買収者が買収から得る波及的な利益を、簡単には組み込めない。
割引キャッシュフローモデルおよび割引超過収益モデル
第1段階:超過収益やフリー・キャッシュフローの予測
モデルはターゲット企業が独立であり続けるという仮定の下で構築
第2段階:割引率の計算
第3段階:感応度分析
3 買収資金の調達
納得できる価格が付けられても、資金調達が適切でなければ、株主の価値が失われる可能性は残る。
資金調達形態がターゲット企業の株主に与える影響
買収者のオファーが税金や取引コストに対して持つ意味である。
資金調達形態と税務上の効果
株式交換であればキャピタル・ゲインに対する課税を先送りできる。
取引コストと資金調達
キャッシュでオファーすれば、ターゲット企業の株主がコストを負担することはないが、売却を意図している株主にとって株式交換であればコストが生じる。
資金調達形態が買収企業の株主に与える影響
企業の資本構成と資金調達形態
借入資金や余剰資金が主な対価となるようなケースでは、買収によって買収企業の財務レバレッジは上昇する。レバレッジの上昇はタックス・シールドを増やして税金を少なくするが、これは副次的な効果である。
レバレッジの上昇は税務危機のリスクを増加させるため、買収企業の株主の価値を減少させる可能性がある。
財務アナリストは以下の財務リスクを評価しなくてはいけない。
負債比率、インタレスト・カバレッジ・レシオ、オフバランスの負債、無形資産の割合
情報の問題と資金調達形態
株式交換だと株価が下落
株式交換だと買収後の損失も、ターゲット企業の株主に部分的に荷担させることができる。
資金調達形態と買収後の会計処理
パーチェス法
買収者はターゲット資産を時価まで切り上げ、ターゲット企業の有形資産の購入額と時価との差額を営業権(のれん)として計上する。米国や他のほとんどの国では、営業権はその後の5年から40年の期間にわたり利益から償却される。
持分プーリング法
買収者はターゲット企業の資産、負債、資本をもとの簿価で表さなければいけない。このため、営業権が計上されることはなく、その後の利益は営業権の償却によって減少することはない。
持分プーリング法を利用するには①被買収企業の事実上すべての議決権付普通株(最低でも90%以上)と引き換えに、買収企業が議決権付普通株を発行すること、および②買収を単一の取引で実行することである。
経営者の中には、持分プーリング法を用いることが株主のためになると考えている者もいる。持分プーリング法だと営業権を償却しなくてすむため、高い利益を計上できるからである。しかしながら、当然ながらキャッシュフローは変わらないため、企業価値はかわらない。
4 買収の成果
他の買収者の存在
経営者の買収防止態度
ゴールデン・パラシュートなどで対応
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